日常英会話のリスニングは
大まかな内容がわかって
話についていけばいい
というところから始めてください。
この聴き方は
たとえば英語でニュースを聞いたり
映画やテレビ番組を見たりするときに
役立つスキルです。
こういう場合
一言一句聞き取ろうとしていたら
疲れて仕方ありませんからね。
ところが自分で英語を話したり書こうと思った時には
一言一句を意識的に選んでいかなければなりません。
そのためには
大まかな内容がわかって英語の音に慣れてきたら
その次の段階として
一言一句しっかりと認識できるように
準備をすることが必要です。
そのために
お金をかけずに自分一人でできる
とても有効な学習法が
ディクテーションなのです。
ディクテーションは活動自体は
いたってシンプルです。
英語の音を聴いて書き取るだけ。
ところが経験した人はご存知かと思いますが
聴いて書き取ると言ったって、
そう単純にはいきません。
なぜならディクテーションは
一言一句を書き取ることですから
英語を一言一句
逃さず聞き取らないといけないからです。
そして聞き取れなかったところは
内容から想像したり
文法知識で補ったりすることが必要になります。
この「想像する・補う」という過程が
とても大切なのです。
たとえば聞こえた音をそのまま書いていっても
同じ発音で違う単語もありますから
音だけでは正解にたどりつけないんですね。
そこで
「この内容からすると、こっちの単語かな」
と内容をきちんと理解して
想像するスキルが必要ですから
単語力も伸びますし
「“They will opened”って聞こえるけど
willの後は原形が来るはずだから、
openedではなくて、openなのかな。
それともwillとopenedの間にbeがあるのかな」のように
文法力もつくのです。
また、特に「リエゾン」なんかに弱い場合は
(たとえばWhat aが「ワットア」じゃなく
「ワラ」と聞こえる現象のことです)
ディクテーションで飛躍的にリスニング力が伸びます。
「ワラ」が「What a」のことだと分かる、というのは
今までの英語教育では身につかないスキルなんですけど、
そういった「音の変化」の特徴を知らないと
ディクテーションはできませんので、
リスニング力強化にこの上なく効果的です。
これが「単なるスクリプト確認」だと
「へー。What aなのね~」で終わりなんですが、
ディクテーションをやると、
「くっそー!!なんで
“What a”なんて簡単な英語が聞き取れないんだ!!」
となるわけです。
さて「単なるスクリプト確認」と「ディクテーション」
どっちが「音の変化」を
きちんと身につけられるでしょうか?
明らかですよね。
さらに、ディクテーションのすごいところは
「ちゃんと書き取れてないところ=弱点」ですから
もう、明らかに自分の苦手なところが分かるんですよね。
また、リスニング力だけでなく単語力も必要ですし
(単語が全部分からないと、聞こえないし書けないですから)
文法力も必要となれば、
いろんなスキルがいっぺんに伸びるすごい勉強法だと
おわかりいただけると思います。
ディクテーションは、それこそ時間もかかりますし
エネルギーと集中力もかなり必要としますので、
一度にやるのは、ほんの2~3パラグラフで十分です。
そのほんの2~3パラグラフを
うんうんとうなりながら完成させ
どーしても聞き取れなかった部分は
めっちゃ悔しい思いをしながら英文スクリプトを見る。
その過程が、すごく効きます。
というわけで、面倒なのはよく知ってますが
絶対に、損はさせません。
私の英会話力が飛躍したのは
ディクテーションを根性入れてやったおかげです。
そしてこのディクテーションは
紙と鉛筆を使ってやってもいいのですが
パソコン上で
wordのようなスペル間違いを直してくれるソフトを使って
タイピングディクテーションをすると効果的です。
紙と鉛筆で行うのに比べて追記・修正がしやすいですし
スペル間違いも防げます。
英語が使えるようになって
SNSや電子メールで英文タイピングする機会が増えるので
ディクテーションで英文タイピングしておくと
高速タイピングができるようになります。
ディクテーションがスラスラできるようになるには
「音だけで何とかしよう」とする脳の習慣が大切です。
まずはマンガENGLISH100タイトルを
イラストと音だけでさらっと経験してください。
1タイトルあたり2~3分程度ですから
100タイトル一気に流したら
5時間程度で経験できます。
さらに5時間
今度は軽く声に出しながら
シャドーイングをしてみてください。
さらにフレーズごとの音声を使った
リピートとリプロダクション
そして漫画イラストを見ながら
思いつく英語の音を声に出す練習。
ここまでを100時間くらいで
100タイトルを横に横に経験して
英語を音だけで何とかしようとする
脳の習慣を育てていきます。
そのあとで
「もっとちゃんと話せるようになりたいな」と思った方は
ぜひディクテーションにも取り組んでみてください。