文法の学び方には
大きな落とし穴があって
文法は大切ですが
習う順番を間違うと
2つ、もったいないことになります。
1つ目は発音です。
2つ目は話し方です。
その典型的な事例に出会いました。
YouTuber「バイリンガールChika」さんの動画で
この動画の1:10あたりから
高橋さんという方の話す英語をお聞きください。
YouTubeのコメントの中にもあるように
高橋さんが話した日本語の内容については
称賛の声が多数上がっていますが
高橋さんの英語についてのコメントがほとんどなく
時折あるコメントが「発音が残念」な理由は
文法に注力し過ぎると発音に影響が出るんですね。
音という感覚的な情報よりも
文法について認識しやすい
「英文を読む」時間が多くなりがちで
英語を話す際に
言葉を発する直前に頭の中で英文を走らせて
それを読み上げるような情報処理になりがちなので
発音がフラット(平らで抑揚があまりない)
になってしまう。
さらに文法を大切にしていらっしゃる割に
文法のイージー・ミスがあります。
TOEICで満点を取るような人が
どういうことでしょう?!
これは英語を「文法から」習ったために
文法のチェック機能が
「本来とは逆に働く習慣」が身についてしまった
典型的な事例です。
文法のチェック機能は本来
言葉を「使いながら」
あるいは
言葉を「使った後で」働くものです。
私たちが日本語で話す時に
声を出す前に頭の中で文を作ったりしないでしょう?
ところが英語においては
文法から習って
そのルールに従って文を作る
という学習を続けてきた私たちは
英語を話す時には
頭の中で英文を作ってから話してしまう。
だから文法のチェック機能が
言葉を使う「前」により多く働いて
言葉を使った「後」ではうまく機能しない
という
逆転現象になってしまう。
本当にもったいないですね。
おそらく自己紹介の前半は
予め暗記していた表現を
一気にまくし立てたような感じで
後半になって
緊張がほぐれたのか
その場で思いついたことを
話し始めたような感じですね。
YouTubeには字幕がついているようですが
(当然のことながら)修正してありますので
発した英語をそのまま書き出して
コメントを加えさせていただきました。
※このようなサンプルは貴重なので感謝です
自己紹介の最後に
She likes to play Doctors and Nurses you know sticks of toy needle into my arm and I scream like a child, “Ahhh.”
「娘は、お医者さんごっこが好きで、おもちゃの注射針を僕の腕にさす真似をして、僕は痛いふりして叫ぶんだ」というようなことをおっしゃっているのは伝わるのですが
She likes to play Doctors and Nurses
「お医者さんごっこが大好きで」の後は
主語も動詞もなくなってしまいます。
主語は前半のsheをそのまま共有するとして
せめて動詞の“insert”くらいは必要だし
“insert”を現在形のまま使うと
3歳の娘さんがコワイ感じになるので
私だったら
“she is trying to insert a toy needle”
「おもちゃの注射針を刺そうとして」くらいで表現したいです。
“I scream like a child”は
動詞が“scream”の単純現在形のままですと
いつも叫んでいます、と言う感じですね。
以前に話題になった「号泣議員」のように
「わ~」っと叫ぶ感じです。
私だったら“I would be screaming.”くらいで表現したいな
と思ってしまうのです。
そうすれば
子ども相手にわざとふざけて恐がっている
おとなの表現としていい感じがします。
あくまでも個人の意見ですが。
もちろんご本人はもとの英文のままで
満足されていらっしゃると思います。
私は、それがもったいないと思ってしまうのです。
「文法から」習ってしまうと
「文法的に正しい英文を作る」ことが「ゴール」で
文法的に正しければいい
というところで満足して
英語のレベルというか
「表現力のレベルが止まってしまう」のが
「もったいない」と思うのです。
今回の記事を通して
私が言いたかったことは
文法はもちろん大切ですが
学ぶ順序が大切だということ。
ポイントは2つです。
1.音から習う
2.英語を使いながら文法をチェックする
文法から習うと
英語を話す時の発音が機械的になってしまいます。
ネイティブの英語の音を聞いて
自然な音の並びをたっぷりと経験することで
自然な音の並びか
不自然かを判断できるようになります。
それこそがネイティブの英文法です。
さらに「使ってから」文法ミスをチェックする習慣
が身に付くと
私たちが日本語を
英語ネイティブが英語を
それぞれ話しているときと同様に
「発しながら修正する」という話し方が
できるようになります。
私たちがマンガENGLISHを使って
漫画イラストで場面を感じながら
何となく思いつく英語の音を発してみた後で
リピートとリプロダクションを通して
自分が発した英文と
お手本との「誤差」を「埋める」練習。
まさに英語ネイティブと同じ
英語の「音で判断して」
「音だけで修正する」という話し方。
この話し方が身に付けば
英語を話す時に
あらかじめ暗記して話す、とか
いちいち頭の中で英文を作ってから話す
などという不自然な話し方から解放されて
場面の中で浮かぶ英語フレーズを並べて
話しながらフレーズを増やしたり直したり、という
自然な話し方ができるのです。
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