言葉って奥が深いなぁ

かの有名な夏目漱石氏が英語教師だった頃、英語の小説に出てきた「I love you」という一節を、生徒が「我、汝を愛す」と訳したことに対し、それでは日本人には伝わらない、しいていうなら「月が綺麗ですね」とでも訳しておけ。と言ったとか。(正式な確認はされていません)一見、まったく原文を無視したはちゃめちゃな訳のように思われますが、考えてみてください。そもそも私たち日本人には、「愛しています。」と口に出して言い合う文化がないんです。月のきれいな丘で、恋人同士が寄り添ってすわっている。そこで、欧米人ならストレートに「愛している」と言うかもしれませんが、日本人だったらどうでしょう。「月がきれいだね。」「そうだね。」こんなやり取りかも知れません。文字にしてしまうとこれだけなのですが、その二人の間に流れる空気に、そこはかとない愛を感じませんか?

日本語と英語は異なる言語ですから、文字も違えば発音も違う、そしてもちろん語順や語形などの文法も全く異なるわけです。そしてそれが使われる文化もまた大きく違うということを認識した上で学習を進めていく必要があります。

国際結婚されてる男性が、奥様としばらく遠距離で過ごしていた時に、電話で話していても奥様がちっとも 懐かしいって言ってくれないので、もうどうでもいいと思ってんのかなと思ってしまってたなんてことがあって行き違いを感じていたそうなんですが、実は奥様は普段の何気ない言葉の中で単純な現在形や、過去形ではなく、現在完了や過去完了を使っていて、奥様なりに懐かしさや恋しさをちゃんと表現していたんですね。例えば「あなたの手紙読んだわ」なんていう台詞。過去形で話してしまうと、読みました、もう興味はありません。みたいなニュアンスになってしまうんですが、これを現在完了で言うだけで、ずっと大切に繰り返し、そして今も読んでいるのよ。というような表現になる。これもやはり、発言する方にも聞き手側にも悪気は全くないのに、つい普段の習慣から行き違いがおこってしまった例なんですね。

言葉ってやはり奥が深いなぁと思ってしまいますよね。夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳したという説もある「I love you」。ロシア語の翻訳をしていた二葉亭四迷なら、「死んでもいいわ」と訳したかも、なんていう話もあります。大好きな人がそばにいて、目の前に美しい月が出ている。あなたならどんな言葉を選びますか。

マンガENGLISH100ご案内