ドナルド・トランプ氏が
アメリカの大統領に就任して以来
各国の翻訳者たちは
新大統領の独特の言い回しに苦労しているようです。
1月21日付のインディペンデント電子版によると
フランス語翻訳者の
ベランジェール・ヴィエノさんも
新大統領のスピーチを訳すのに
苦労している一人だそうです。
ヴィエノさんによると
「本人も話の方向がわかっていないのでは」と
ロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックスの
インタビューに応じて語っています。
原文はこちら⇒ トランプ氏の英語について(ヴェエノさん)
「語彙が限られていて、構文はバラバラ。
繰り返しも多い。
でも訳者はそのとおりに伝えなければなりません。
まるで主題の雲が頭の中にあって
論理的な繋がりがない言葉を
そこから選んでいるかのようです」。
構造がしっかりしており
論理的な言語であるフランス語。
ヴィエノさんは
文の構造よりも言葉の意味を優先させるかどうか
ジレンマを感じながら訳しています。
そのまま訳せば
聞き手のフランス人は理解に苦しむでしょうし
逆によどみなく知的に訳したら
「きちんとスピーチする普通の政治家」
に聞こえてしまうという問題があるからです。
オーストラリアの放送局で
スペイン語放送を担当するソラヤ・カイセドさんも
大統領の発言の意味は
南米の視聴者にはわかりにくいと言います。
原文はこちら⇒ トランプ氏の英語(ソラヤさん)
皮肉や比喩を多用しているため
表現方法を変えずに明確に訳すのは難しいのです。
ドイツのジャーナリスト
ローラ・シュナイデルさんは、
1月21日のツイッターで
ドイツ語の通訳者の発言を引用し
「大統領の発言が矛盾だらけなのに、聞いている人は、通訳がめちゃくちゃに訳していると思っただろう」
とつぶやいています。
通訳・翻訳者泣かせのトランプ英語ですが
日本の英語学習者には
意外に好評な面もあるようです。
就任演説を聴いた人の感想をネットで見ると
難しい言葉や構文を使っていないので
格調高いスピーチよりも
むしろ聞き取りやすいという声が
多く寄せられていました。
クリック⇒ トランプ氏の英語(日本人学習者)
トランプさんの英語
通訳がしづらくて
そもそもの英語が簡単なら
いっそのこと訳さないで英語のまま触れるのが一番です。
そしてそれはトランプ氏の英語に限ったことではなく
訳さずにそのまま聞いたり読んだりするのが
言葉の本質に一番近づけるのですから。